Chromebookをつかってみた話
修士論文執筆真っ盛りの今日,ノートパソコンが壊れました.
ShiftとCtrlキーのストロークに違和感があって,分解掃除しようと横着した結果,静電気がマザーボードにびしっといきました.
とにかく,研究室で作業するにはノートブックが必要なので,急遽調達しなければというところだったのですが,出費が重なっていたこともあり,安いChromebookに手を出してみました.
購入したのは,lenovo Chromebook S330 (14")です.
サイバーマンデーかなんかで64gbストレージモデルが22,000円程度になってました.
びっくりするぐらい安い値段と,貧弱なスペック.
以下,公式サイト様より,スペックを引用.
プロセッサ:MediaTek MT8173C (2.10GHz, 1MB)
メモリ:4.0GB LPDDR3-1866 LPDDR3 (オンボード) 1866MHz
ストレージ:64GB (eMMC)
んー...
「最悪overleafだけでも動けばええやろう」と思ってポチっとしました.
注文から4日で到着,早くて助かりました.
とりあえず,いろいろ作業を試してみました.
以下に雑に感想を列挙します.
セットアップ:Googleアカウント入れるだけ超簡単.
キータッチレスポンス:若干の遅れを感じるが,ストレスになるほどではない.
USキーボード:慣れれば全く問題なし.
ファイルの共有:「バックアップと同期」を使って,デスクトップのフォルダをGoogle Driveへ同期してアクセス可能.
Choromeブラウザ:8つくらいタブ開くけど,そこそこ軽く動く.サクサクではないが,めちゃくちゃイライラもしない.
LaTeX:overleafを使用.ほかに6~7個タブ開いた状態で動かすと,たまに固まるが,ちょっと時間がたつと頑張って復帰する.コーヒーブレイクにちょうど良い.
Python3:Google Colaboratoryを利用.Colaboratoryのデフォルトライブラリにはigraphが入ってないので,それだけ"!pip"でインストール.スクリプトの実行は問題なし.若干遅いが,阿呆みたいに待たされることもない.
Youtube:バースクロールすると止まることが多いですが,それなりに見れます.
Zoom:Chrome Webストアから追加.マイクの収音がちょっと悪いかも?でもレクチャー受ける程度なら問題なさそう.
総評:問題なくつかえます.
パワポとか,エクセルとかたくさん使いたい場合はChromebookはちょっとあれかもしれないですが,そうでないならコスパよいなあと感じました.
(ただ,予算があるならWindows PC買います.)
一応オフラインでもpython使いたいなあと思ってLinux全く分からないですけどがんばってjupyterのインストールもしました.
jupyterのインストールにおいて,なんかerrorがずっと出てたんですが,調べたものからあたりを付けて,
"libffi-dev"
"libssl-dev"
をぶち込んだらなんかうまくいきました.
Chrome OS自体についても,使用感に癖はありますが,Androidスマホに近いので,Androidユーザーはそこまで強い違和感を感じないと思います.
とりあえず,金なし学生はこいつと年度末まで駆け抜けます.
ネットワークサイエンス関連の本
経済セミナーさんがネットワークサイエンスの特集をするってことなので,それに便乗して,ネットワークサイエンス関連の本を紹介します.
新書
ネットワークサイエンスってどんなことやってますよ,ってのをいろいろ概観できるのが,サイエンスパレットから出てるネットワーク科学本です.
ネットワークサイエンスが様々な問題に応用ができるツールであることをみることができると思います.
専門書
僕がネットワークサイエンスを学ぶときに,教えてもらったものが次の2つです.
Barabasiの本は翻訳が出ています.
BarabasiもNewmanも,非常に読みやすいです.
どちらも,経済学で学ぶ程度の数学ができればほとんど読み切れます.
難易度的にはNewmanのほうが高度だと思います.
日本語で書かれているものなら,上記のサイエンスパレットを書いている増田さんが,次のものを書いています.
ただ,紙面の都合もあり,扱っている内容には限りがあります.
それでも日本語で読めるというのは本当にありがたいことだと思います.
経済学への応用
これまでは理工色が強かったですが,じゃあ実際経済学ではどうなのよ?って方は次の本とかがいいかと思います.
このあたりの本は実際にネットワークサイエンスを経済学へ応用している事例を多く扱ってくれています.
ちなみにEasley and Kleinbergはmanuscript版をネットで公開してくれているので,興味のある方は一度見てみてはいかがでしょうか.
Networks, Crowds, and Markets: A Book by David Easley and Jon Kleinberg
もちろん他にもいい本はたくさんあるんでしょうが,現在僕の知っているものはこのあたりです.
今回はこのあたりで.
M1でお世話になった本など
気まぐれの更新です.
大学院進学後,いわゆるコアコースに苦しめられ続けていたのでM1の時に大変お世話になった本を紹介します.
ここで紹介するのは,あくまで副読本として用いたものであることに注意してください.
ミクロ経済学
コアミクロはかなり苦しみました.
ミクロを受けているとき,いくつかの特定のトピックスについて参考にした本がありました.
家計,企業などの問題などについては,西村ミクロを参考にしていました.
これ,絶版になってるんでしょうか.
いい本なので,手元に置いておくと安心感がありますが.
ゲーム理論のトピックスについては,岡田ゲーム入門とグレーヴァゲームをぱらぱら見ていました.
岡田ゲーム入門は学部生向けにもお勧めできるかと思います.グレーヴァゲームは大学院においてのゲーム理論に非常によくフィットしていた印象です.
ただ,グレーヴァゲームも絶版なんでしょうか,中古でこんなに高くなっているとは.
マクロ経済学
マクロで一番お世話になったのは,バロー・サラ-イ-マーティンの内生的経済成長論でした.
特に,2巻の数学付録が非常に優秀です.
内容よりなにより,数学付録に一番お世話になっていました.
連続時間モデルを勉強するならば,この数学付録がお勧めです.
他にも,微分方程式の分析については,数学テキストで紹介した三土がお勧めです.
関数方程式の節がまとまりがよいです.
離散時間モデルでマスターレベルのものを取り扱っているものは,二神動学マクロでしょう.こちらもよく参照していました.
追記
マクロでは動的計画法を使うことも多かったですが,その学習には経セミの最適化特集で上東先生の記事も読んでました.
この本はミクロ,マクロ問わず経済学で用いる最適化について,必要な情報を網羅的かつかなりわかりやすく解説してくれています.
安いですし,非常にお勧めです.
e-bookですが普段紙の本派の方にもこれはめちゃくちゃオススメです.
計量経済学
統計的知識については,統計学のテキストで紹介した,東京大学出版会のものを頻繁に参照していました.
また,行列で計量経済学の理論を追っていく必要があったところでは,最近少し話題になった末石ミクロ計量をよく参考にしていました.
まあこれはコアの担当が末石先生だったということもありましたが.
数学付録も短くまとまっていて,個人的には好みのテキストです.
他に,よくわかりにくい点などを復習する際,西山他計量が大いに活躍していました.
この本は学部生からも根気があれば取り組めるレベルですが,扱っているトピックスが広く,わかりやすいです.
レイアウトも非常に見やすく,非常に気に入っています.
僕は初版を買ったので,たまにページの参照などがずれている部分などを発見していましたが,特段問題ないでしょう.
コロナウイルスの影響もあり,講義の開始が遅れているところも多いでしょう.
経済学は近年,幅広いレベルの内容を日本語で読める,よいテキストが多く出版されてきており,恵まれた分野だと思います.
今こそ本を読みましょう.
経済格差の新書
僕は格差について興味がありますので,今回はたくさんある書籍の中から僕の読んだ2冊を紹介させていただこうかと思います.
どちらも新書なので,気になった方は是非読んでみてください.
橘木俊詔(2006)『格差社会ー何が問題なのか』岩波新書
サブタイトルにある通り,「何が問題なのか」ということが漠然としている方にお勧めです.
もう10年以上前の本ですが,経済格差を考える際にいくつかの視点を与えてくれる本かと思います.
この本の中で,格差の固定化について触れらています.
ここに非常に詳しく触れているのが,次の本です.
佐藤 俊樹(2000)『不平等社会日本―さよなら総中流』中公新書
名著です.内容は新書にしては難しめです.
金持ちの子は金持ちになり,貧乏人の子は貧乏人になるという社会構造が出来上がってきていることを,この1冊を通して丁寧に示しています.
かつては僕も「努力している人がみな金持ちになる」なら,格差など別に問題ではないと思っていました.「貧乏なのは努力していないからだ」と断じていたからです.
しかし,「努力をしても金持ちになれない人」がいることに気づいてから,考えを改めました.むしろ,「努力をしたのに貧乏になってしまった」人も存在するわけです.
そんなわけで,「頑張ったやつが報われる社会」が来ることを待ち望んでいます.
統計学・計量経済学のテキスト
今回は統計・計量のテキスト紹介です.
僕は学部時代から統計・計量が特別得意なわけではありませんでした.
院試でも統計は全く使っていませんし,学部生向けの感じになるかなと思います.
しかしながら,得意ではなかったゆえにあれこれテキストを読み比べたりしましたし,ちょっと躓いている人などへのヒント程度にでもなれば嬉しいです.
個人的には,卒論を書く時には役に立つかなと思っています.
基本は統計学
鉄板のテキストは東京大学出版会のものでしょう.
詳しい説明が多く,証明もそれなりにきっちりやってくれてます.(もちろん,証明を省いているところもありますが.)
掲載されている分布なども多いです.
しかし,初学者がこれを手に取るのはかなり厳しいんじゃないかなと思います.
そもそも,初学でなくてもこれを進めるのはかなり骨が折れます.
このテキストは数式の行間を埋める作業が多くなりがちなんですが,根気よくやらないと途中で急にわからなくなります.
より入門的なテキストとして,ここでは篠崎・竹内統計を挙げておきます.
篠崎・竹内統計は僕が学部1年のときに統計学の先生から紹介していただきました.
文系学部の教養向けに指定していた教科書ということですので,数学的なハードルは上記のテキストよりずいぶん低くなります.
個人的にはとても分かりやすかったですし,かなりいいテキストだと思います.
なぜか評判を聞きませんし,大きな書店にもないことも.
もっと広まれ.
加えて,友人が読んでいたテキストも紹介させていただきます.
これも丁寧な展開で読みやすいな,という印象を受けました.
レベルは篠崎・竹内統計より少し高いかな,程度じゃないかと.しっかり読んでいないのであまり当てになるものではないですが.
ともかく,初学者は篠崎・竹内を含め,このあたりのテキストから始めるのがいいのではないかなと思います.
計量経済学などへの応用
統計の知識を一通り頭に入れたら,ともかく次の2冊を読みましょう.
別に統計学を学ぶ前でも,学ぶのと並行してでもかまいません.読みましょう.
計量経済学でよく出てくる,操作変数法やRDDなど,様々な手法について直観的な解説を行っています.
まずはこれらの本で,各種分析手法がどういう発想で行われているのかを理解しましょう.
これらの本を読んだら,次は山本(勲)計量をお勧めします.
一通りの統計学の知識があればスムーズに読めると思います.
この本は,理論的なことよりも,「ある程度の実証分析の論文の結果を理解できるよう,その読み方を指南してくれるもの」だという印象です.
これは卒論を書くために非常に重要だと思っています.
というのも,たいていの人は卒論の先行研究をGoogle Scholarなどで探すとき,まずは日本語の研究を探しに行くのではないでしょうか.
おそらく,このとき見つける多くの論文は実証分析を行っていると思います.
何も知らない状態からそれらの論文を読もうとしても,分析結果の読み解き方がわからず,先行研究が何をやっているのか全く分からない,ということが多発します.
読み方を知っておけば,ある程度の参考文献が集まるようになると思います.
理論的な背景をちゃんと把握したい場合,学部向けテキストで評判の良いものといえば,山本(拓)計量でしょうか.
学部で必要であろう計量経済学の知識は 一通りこれに入っているのではないでしょうか.ただ,これを進めるのは結構大変です.
このようなテキストで理論的な背景を知ることはもちろん大切ですが,実際のところ,卒論などでも回帰分析をやってみる程度という学部は多いのではないかなと思います.
回帰分析の知識はほとんどの入門向け統計テキストでカバーされていると思いますし,実際,統計のテキストに挙げたものも,カバーしています.
ゆえに,計量分析を学部からもそれなりにきっちりやりたい学生や,コアの前に基礎知識を付けたいと思う院生などにはいいテキストとなるかなと思いますが,そうでない方にとっては少しオーバーワークかなと思います.
もちろん,学問にやりすぎはないんですが,学部生は4年間という時間の制約のもとにあるので,それも考えたいところかと.
まとめ
結構ばらばらと紹介してしまったので,ここでまとめておきます.
まず最初にすべきことは,統計学のテキストを一つやりきることです.
その後,原因と結果の経済学,データ分析の力を読み,山本(勲)計量をやる.
卒論の分析を(クロスセクションの)回帰分析で行うつもりの方はこんなところでとりあえず卒論は書けるのではないかなと思います.
付記
統計や計量のテキストに入る前にまず,初年度の統計学の入門向け講義を受けることをおすすめします.
そのような講義がないのであれば,直接テキストに入って自習もいいですが,統計学は確率を使ったり,標本がどうとか母集団がどうとかややこしいことも多いので,やはり見通しが悪くなりがちです.
周りに質問できる人を作っておくとよいと思います.
そしてまず大前提ですが,統計のテキストを読むには積分表示に慣れておく必要があります.
今回紹介しているレベルのテキストでは,積分計算としては大したことはしませんから,数IIIを履修してから進学してきた方にとってはそこまで苦ではないでしょう.
しかし,積分に触れたことのない方は,積分計算がどのようなものかという概念ぐらいは知っておかないと途中で足が止まってしまうかもしれません.
足が止まったら経済数学で積分を扱っているテキストに戻って,特にその図形的な意味を頭に入れておきましょう.
進学のためのゼミ選択
学部3年(大学によっては4年?)に上がるタイミングで卒業論文を書くゼミを選ぶことになると思います.ゼミによっては卒論の必要ないところもあると聞きますが,たいていの方は卒論を書くのかなと思います.
進学を視野に入れている方は,このゼミを慎重に選んでみてください.
経済学部では「就職に強いゼミ」を選ぶ人が多いのかななんて思います.僕の学部でも,ゼミOBがどうたらこうたらというのを小耳にはさみました.
もう一つゼミを選ぶ時の基準で多かったのが,「楽なゼミ」でした.すなわち,要求される発表や課題の質・量がともに低いゼミです.もちろんとっても華やかな方々が集まります.
しかしながら,進学を視野に入れている方は「研究力の高い先生」を選ぶことをおすすめします.
研究力の高い先生を見つけるには,阪大の安田先生が作っている次のリストが大いに役立つかと思います.
リストに載っている方は凄腕です.(ご利用される前に - Economists Japanにある通り,"リストに載っているからといって優れた研究者であることを絶対に保証するものではありません。"ということに注意.またその逆も然りで,リストに載っていないからといって優れていないわけでも当然ありません.)
自分がミクロ,マクロどちらを選択するか,また実証,理論のどちらを中心として研究するかを考慮して,先生を選ぶ際の参考にするとよいかと思います.
また,上記のリストに載っていなくとも,有名雑誌に論文をいくつか掲載している先生も研究力が高いです.同じく安田先生のウェブページですが,
Economics Journals - Economists Japan
に乗っているTOP50ジャーナルが参考になると思います.先生の業績を調べ,TOPジャーナルに(できるなら過去5年程度の間に)論文を載せているかどうかを見てみるのもよいと思います.
加えて,あまり僕の周りの先生には評判がよくないのですが,IDEASのランキングも紹介しておきます.こちらもTOP50,TOP100あたりを参考にしてみるとよいかもしれません.
Simple Impact Factors (Last 10 Years) for Economics Journals | IDEAS/RePEc
Simple Impact Factors(Last 10 Years) 以外にもいろいろあるので,参考にしてください.
ただしリスト未記載やリストのTOPに入っていないものでも,各分野において有名なジャーナルは数多く存在します.
例えば,マクロ経済学であれば,
- Journal of Macroeconomics
- Macroeconomic Dynamics
公共経済学ならば,
- Journal of Population Economics
また,理論系ならば,
- Economic Modelling
他にも,日本で有名な雑誌として,
- Journal of the Japanese and International Economies
- Japan and the World Economy
- The Japanese Economic Review
などなど,本当に幅広いです.
ところで,研究力の高い先生方を選ぶメリットはいくつかあります.
- 「論文の書き方」を知っている.
- 新しい研究を知っていて,先行研究で関連するものなどを紹介してもらえる可能性がある.
- 進学のために必要な研究レベルを把握している.
- 外部受験の際の推薦状が強くなる.
- 研究好き.
特に,最後の2つについて少し書き加えます.
研究力の高い先生は様々な学会へ出席したりしているので,研究者のコネクションが広いです.
院試は筆記の点数重視だと思いますが,有名な(あるいは知っている,仲のいい)先生の教え子といのは,微々たるものですが影響するかと思います(というか,そう信じたい).面接や入学後のネタになったりする程度かもしれませんが.
研究好きというのはより重要です.
研究好きな先生は,真面目に研究をする学生としっかり議論をしてくれる方がほとんどだと思います.なんでもかんでも「いいね!」と言わず,面白いものは面白い,つまらないものはつまらないと言ってくれます.
研究を行うとき,他者と議論を交わすことは不可欠です.もしあなたが地方の私立大学などに所属しているならば,周りに院進を志し,研究の議論ができる人はほとんどいないかもしれません.
そんな中で議論を受けてくれる先生の存在はとても心強いと思います.
もうゼミを選び終わったかもしれないタイミングでの投稿なので「もうおせえよ」って方は,研究力の高い先生の授業をとって,オフィスアワーなどで仲良くなってくれることを願います.
お金の話
院試を終えて,入学準備をしている今日この頃,強く感じる事は「大学院入るためにはとにかくお金が必要だな」ということです.
おそらく大学院を受験する方々にとっては避けて通れない話だと思います.
研究科によっても費用は異なると思いますが,少しでも誰かの参考になればと思います.
先に結論を言えば,合計で60万円から80万円程度必要でしょうか.
院試までにかかる費用
受験料
大学院を目指す方はいくつかの志望校を併願することがほとんどかと思います.
僕の場合は実質3校(東大,神大,学部在籍大)に出願しましたので,1校当たり3万円の受験料が必要でした.
合計9万円です.
受験遠征費
学部在籍大の受験はとくに遠征費はかかっていません.
神大は受験日程が1日で,前日入りするために1泊6千円程度のビジネスホテルに宿泊.在住の愛知から神戸までの交通費は8千円程度,行き帰りはバスでした.
東大は受験日程が2日,しかも1日目の筆記と2日目の面接が少し離れており,両方前日入りする場合は2往復が必要でした.筆記の1泊は6千円程度,往復の交通費は1万5千円程度かかりました.行き帰りは新幹線でした.
僕は筆記で落ちましたので,面接のための宿泊と往復の新幹線はキャンセルとなり,お金はかかっていません.
合計3万5千円
(ちなみに東大の面接の次の日が合格発表となっていましたので,筆記が通っていたら2泊ともう1往復分の交通費が必要になっていました.その費用は2万5千円程度かと思います.)
院試後
入学金
上位国公立の経研などは,院試後,入学金は3月に納めるところがほとんどかと思います.この金額が28万2千円.
奨学金の入学時特別増額を利用したとしても,入学前の3月時点ではこのお金は貸与されないので,30万円は用意する必要があります.
他にもつなぎ融資やらなんやらと制度はあるかと思いますが,その辺は調べていません.
余談ですが,僕の学部在籍大は院試が7月と早く,結果が出た後すぐに入学金30万円を要求して来ました.僕は他校合格に自信を持ちきれなかったので,親になんとか工面してもらい,支払いました.もちろん入学しなくてもそのお金は返ってきません.
こんな阿呆な出費はしないとすれば,28万2千円.
引越
引越しが必要になる方も多いかと思います.僕も大学院から実家を出ることになりました.これがかなり痛かったです.
敷金ゼロ,礼金ゼロの部屋を契約しましたが,契約の初期費用で10万円必要となりました.仲介手数料や前家賃,保険料などなどです.
その後引越し先に必要な寝具,机,ガスコンロ,冷蔵庫,洗濯機,電子レンジ,温水洗浄便座(必須),その他雑品を購入しましたので,しめて15万円程度.
さらに,ハイエースをレンタルし,実家から持ち出せるだけのものをもっていきました.ハイエースのレンタル代およびガソリン代,高速代をあわせて3万円程度.
合計28万円
一人暮らしを既にされている方や実家から通える方などはこのあたりは必要ないかと思いますが,大学院から一人暮らしになる方はしんどい額かと.
こんな感じで,院試前から10~15万円,院試後にも50~60万円が必要となりました.入学しないのに支払った入学金は除いています.
他にも返送用切手やらレターッパックやら速達料金やら地味にダメージがあるものが存在しています.
まじめに勉強や研究をして大学院を志しながら,80万円という金額を学部生の間にアルバイトなどで貯めるというのは,過酷だと思います.
僕の親は大学院進学にもともと反対していましたが,なんとか金銭の援助をしてもらうことができました.祖母などもかなり援助をしてくれていたと聞いています.両親,祖母には本当に感謝しています.
入学前にもこれだけお金がかかります.
大学院という場所は,親の経済的支援のない方にとってかなり過酷なチャレンジになるのかなと思います.
大学院を考える方は「お金いるぞ」と,少しでも頭の隅に置いておくと良いかもしれません.
周りの支援なしにでも大学院進学を目指すことができる世界が来る事を願います.