進学のためのゼミ選択
学部3年(大学によっては4年?)に上がるタイミングで卒業論文を書くゼミを選ぶことになると思います.ゼミによっては卒論の必要ないところもあると聞きますが,たいていの方は卒論を書くのかなと思います.
進学を視野に入れている方は,このゼミを慎重に選んでみてください.
経済学部では「就職に強いゼミ」を選ぶ人が多いのかななんて思います.僕の学部でも,ゼミOBがどうたらこうたらというのを小耳にはさみました.
もう一つゼミを選ぶ時の基準で多かったのが,「楽なゼミ」でした.すなわち,要求される発表や課題の質・量がともに低いゼミです.もちろんとっても華やかな方々が集まります.
しかしながら,進学を視野に入れている方は「研究力の高い先生」を選ぶことをおすすめします.
研究力の高い先生を見つけるには,阪大の安田先生が作っている次のリストが大いに役立つかと思います.
リストに載っている方は凄腕です.(ご利用される前に - Economists Japanにある通り,"リストに載っているからといって優れた研究者であることを絶対に保証するものではありません。"ということに注意.またその逆も然りで,リストに載っていないからといって優れていないわけでも当然ありません.)
自分がミクロ,マクロどちらを選択するか,また実証,理論のどちらを中心として研究するかを考慮して,先生を選ぶ際の参考にするとよいかと思います.
また,上記のリストに載っていなくとも,有名雑誌に論文をいくつか掲載している先生も研究力が高いです.同じく安田先生のウェブページですが,
Economics Journals - Economists Japan
に乗っているTOP50ジャーナルが参考になると思います.先生の業績を調べ,TOPジャーナルに(できるなら過去5年程度の間に)論文を載せているかどうかを見てみるのもよいと思います.
加えて,あまり僕の周りの先生には評判がよくないのですが,IDEASのランキングも紹介しておきます.こちらもTOP50,TOP100あたりを参考にしてみるとよいかもしれません.
Simple Impact Factors (Last 10 Years) for Economics Journals | IDEAS/RePEc
Simple Impact Factors(Last 10 Years) 以外にもいろいろあるので,参考にしてください.
ただしリスト未記載やリストのTOPに入っていないものでも,各分野において有名なジャーナルは数多く存在します.
例えば,マクロ経済学であれば,
- Journal of Macroeconomics
- Macroeconomic Dynamics
公共経済学ならば,
- Journal of Population Economics
また,理論系ならば,
- Economic Modelling
他にも,日本で有名な雑誌として,
- Journal of the Japanese and International Economies
- Japan and the World Economy
- The Japanese Economic Review
などなど,本当に幅広いです.
ところで,研究力の高い先生方を選ぶメリットはいくつかあります.
- 「論文の書き方」を知っている.
- 新しい研究を知っていて,先行研究で関連するものなどを紹介してもらえる可能性がある.
- 進学のために必要な研究レベルを把握している.
- 外部受験の際の推薦状が強くなる.
- 研究好き.
特に,最後の2つについて少し書き加えます.
研究力の高い先生は様々な学会へ出席したりしているので,研究者のコネクションが広いです.
院試は筆記の点数重視だと思いますが,有名な(あるいは知っている,仲のいい)先生の教え子といのは,微々たるものですが影響するかと思います(というか,そう信じたい).面接や入学後のネタになったりする程度かもしれませんが.
研究好きというのはより重要です.
研究好きな先生は,真面目に研究をする学生としっかり議論をしてくれる方がほとんどだと思います.なんでもかんでも「いいね!」と言わず,面白いものは面白い,つまらないものはつまらないと言ってくれます.
研究を行うとき,他者と議論を交わすことは不可欠です.もしあなたが地方の私立大学などに所属しているならば,周りに院進を志し,研究の議論ができる人はほとんどいないかもしれません.
そんな中で議論を受けてくれる先生の存在はとても心強いと思います.
もうゼミを選び終わったかもしれないタイミングでの投稿なので「もうおせえよ」って方は,研究力の高い先生の授業をとって,オフィスアワーなどで仲良くなってくれることを願います.